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2012年5月13日 (日)

注目される日韓間の防衛上の協力関係強化の動き 

    戦後の日韓関係は、国交正常化以後も、竹島領土問題をはじめとして、漁業、教科書、慰安婦、日本海呼称問題等々、紛争や対立の種がなくならず、緊 張関係が常態化してきた。それでも、日米韓合同演習、対北朝鮮共同歩調、日中韓協力常設事務局のソウル設置、東アジア大震災救援援助、文化財の韓国への返 還、日韓FTA交渉など協力の場面が次第に拡大してきたことは歓迎すべきことである。


        日韓両国は、歴史的な諸問題を抱えつつも、地政学的に利害を共有する部分も少なくなく、本来、安全保障面では「自然的同盟国」の関係にあるといってもおかしくない。とくに近年における中国の台頭により利害関係は一段と増大しているといって良い。

           そのような中で、最近になって、両国政府筋より、日韓両国が防衛にかかわる2つの協定(人道援助、災害救援、軍事情報の相互協力に関する「日韓軍事情報包 括保護協定」)および両国が兵器を除く物品や輸送などを融通し、平和維持活動で協力する「物品役務相互提供協定」)が詰めの段階を迎えており、数週間内に 日韓防衛大臣会談が開かれて署名、締結される運びとなっていることが明らかになった。

           両国がともに同盟関係を結んでいる米国もここ数年来、日韓間の何らかの軍事上の協力関係が正式に結ばれることを希望してきているといわれ、韓国海軍の哨戒 艦「天安」が2010年3月に北朝鮮から攻撃を受けて沈没したとされた事案が発生後の同年7月、米韓両国が海事合同演習をした際に、米国は日本がオブザー バーを派遣することを歓迎したという。 

           ただ、上記2協定の正式署名日はまだ決定しておらず、これら動きが報じられてから、韓国側には、これら協定は、韓国国民感情に適さない上、朝鮮半島の平和 と緊張緩和に何の利益ももたらさないとして、日韓軍事協定締結の論議を中断すべしとの意見もでてきていると報じられているので、注意を要しよう。
    (Y. I. )   
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推薦図書・資料
1.国際情報センター所長の茂田 宏氏監訳による【インテリジェンス―機密から政策へ】
  マーク・M・ローエンタール 著
  (慶應義塾大学出版会 http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766418262/)  
2.「ペンタゴン報告書:中華人民共和国の軍事力―2009年版」(全和訳完全版)
 ( http://www.amazon.co.jp/ペンタゴン報告書-中華人民共和国の軍事力-米国防総省/dp/4990474104
  8月24日米議会に提出された最新版(2011年版)は、国防省HP(http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2011_CMPR_Final.pdf)で御覧になれます。 
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2012年5月 6日 (日)

米中による陳光誠事件の処理が示す人権問題の異例な交渉プロセス

      中国の「盲目の人権活動家」陳光誠氏が中国当局による軟禁を脱し米国大使館に保護された問題は、5月3-4日北京で開催された米国と中国の閣僚が経済や安全保障上の課題について話し合う第4回「米中戦略・経済対話」の直前に発生した。

            人権問題は、米中間における極めて機微な事案となっているので、双方とも細心の注意を払って処理に臨んだと思われるが、米側は、特別なやり方(ロック米大 使によれば「ミッション・インポッシブル」を実施)で陳光誠氏を米大使館で保護した際、同氏は安全が保障されるなら中国に留まりたいとの意向を米側に示し ていたことを踏まえ、中国側に対し米大使館による保護行為を不問に付すよう交渉し、中国側も外交部報道官が米側のやり方は、明らかな内政干渉だと不満を述 べつつ了解を与えた様子であった。

            しかし、その後、陳光誠氏が中国にとどまるとの当初の意向を翻し、米国への出国を希望することを外国記者に表明したことから事件はさらに複雑化し、上記米中対話会合の進行中も舞台裏で米中間で鋭意交渉が行われるという異例な展開を見せた。
さらに陳氏は、4月3日、上記米中閣僚会議の最中、米議会下院の中国特別委員会で電話による証言を行い、北京に滞在中のクリントン国務長官に会って、米国へ出国するための支援を直接要請したいという意向を示した。

          同委員会のスミス委員長は「中国政府が陳氏の身の安全を保証するという約束を守るかどうかは非常に疑わしい。アメリカが本当に人権を重視しているかが試さ れている」と述べ、議会としてこの問題に積極的に関与していく立場を強調したという。また、ロムニー共和党大統領候補もオバマ政権の同事件の処理の仕方を 強く批判する発言を行った旨報じられた。

          このような状況下で、本問題は、双方政府の上層指導部に挙げられ、交渉が行われた結果、陳光誠氏のために米国学術教育機関のしかるべきポストが用意され、米側としては家族と共に受け入れることで最終的詰めが行われているようだ。

         以上のような合意が極めて早急に成立が図られた背景としては、米国の大統領選挙戦や中国の指導層交替への影響を踏まえ、とくに米側では、スマートフォン技 術を駆使し、議会が強い関心を示しはじめた状況を考慮し、通常では合意困難な点についても政治的観点から早期に了解し合うことで米中双方の利害が一致を見 たということであろう。
                    (Y. I. )   
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2012年4月30日 (月)

東アジアで展開する軍事演習合戦

東アジアで展開する軍事演習合戦

  東アジアにおいては、先般、米国と韓国、日本との間で恒例の軍事演習が行われ、とくに米韓のそれについては、北朝鮮に近い海域であったことも あり、北朝鮮側からの激しい反撥があったが、これら演習は、北朝鮮のみならず、近年の東アジアにおける中国海軍および沿岸監視船の活動の活発化を背景とし て行われていることは明らかであった。
  また、南シナ海周辺においても、米国とベトナム間の軍事演習が行われており、さらに、フィリピンも、米国との間で、4月16日からフィリピン各地で大 規模な合同軍事演習を実施し、同月25日には中国などと領有権を争う南シナ海の島々に近いパラワン島の海軍基地で、双方の海兵隊80人が参加して上陸訓練 を行ったようだ。
  米国政府は、フィリピン政府との間で初めての外務・防衛の閣僚協議、いわゆる2プラス2を、近くワシントンで開くと発表し、海洋進出を進める中国を念頭に、両国の安全保障面での協力関係の強化を話し合うという。
  これらの動きの中で、中国とロシアも、両国海軍にとり初めての大規模で実戦的な合同軍事演習を4月27日まで6日間にわたり行った。
  中国の国営テレビなどが黄海上を進む中国海軍のミサイル駆逐艦「ハルビン」のレーダーが敵の艦隊に見立てた目標物を捉え、ロケット砲や対空砲を次々と発射し、甲板上から、敵の潜水艦を探知する哨戒ヘリコプターが飛び立つなどの実弾演習の様子を中継で伝えたようだ。
 「ハルビン」は中国海軍で初めて太平洋横断を実現した主力艦であり、隠密性が高い「宋級」潜水艦も参加した模様で、最近の米国と関係諸国の軍事演習に対抗した動きとして注目される。    
         (Y. I. )   
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2012年4月23日 (月)

国連安保理が最近やっと機能しはじめたのは、中露の協調外交によるのか単なる追随か

   国連安保理は、シリア情勢や北朝鮮問題で強い決議や議長声明を採択しようとするとこれまで拒否権を有する中国やロシアがきまって慎重論を主張 したり、反対して、安保理が実効的措置をとることを妨げ、安保理は、その第一の任務たる国際の平和と安全の維持機能を果たし得ないできた。

  このような状況が恒常的に続くことになれば、すでに一部で囁かれているように欧米諸国と中露両国間の「新冷戦」時代が到来したのではないかと憂慮されるのも理由なしとしないであろう。
  しかし、幸いなるかな、最近になってこのような情勢について多少改善の兆しが見えはじめてきたような観もある。
  1つには、北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイル発射の失敗を受けて、北朝鮮の行為が先の安保理決議違反であるとしてこれを強く非難する安保理議 長声明を採択しようとした際、中露の抵抗が懸念されたが、議長国米国の強力な采配により予想以上に迅速に強い内容の議長声明がとりまとめられ発出された。
  また、シリア情勢についても、現地ではアサド政権の血なまぐさい反政府勢力の弾圧が続行する中、国連安保理の欧米およびアラブ諸国メンバーが再三にわ たりこれを停止させるための決議案の採択を試みたが、これまで露中の強い抵抗により失敗してきた。しかし、コフィー・アナン前国連事務総長が停戦実現のた め仲介に乗り出してから、まず国連が30名までの先遣停戦監視非武装軍事要員チームをシリアに派遣する決議が露中を含む安保理理事国全会一致で採択され、 監視チームが現地に派遣された。
  さらに、4月21日、市民弾圧を続けるシリア政府と反体制派の停戦監視のための平和維持活動(PKO)部隊の本隊を派遣する決議案が同じく全会一致で 採択された。この新PKOは、国連シリア監視団(UNSMIS)と称され、非武装の軍事要員最大300人で構成し、政府と反体制派を含むすべての当事者に 改めて暴力行為の停止を求め、政府に対しては、アナン特使に約束した、人口密集地からの軍の撤退や重火器の使用停止などを早急に実行するよう改めて要求す るものである。
  中露両国は、国連が加盟国の内政干渉となる恐れがあると見られる決議の採択には従来より一貫して強く反対し、拒否権の行使も厭わないとの態度で臨んで きているので、シリアにおける政府と反政府勢力の対立という一見純然たる国内問題について人道的観点から派遣される国連PKOに中露が賛成するというの は、両国のこれまでの立場から踏み出したものと云える。
  しかし、中露の以上のような最近の行動は、果たして国際社会が懸念する事態への対応への協調外交に両国が転じたものであるかどうかは即断できないであ ろう。むしろ、北朝鮮問題にせよ、シリア情勢にしろ、国際社会全体の眼に明らかに不穏、不当な状況に対する共同行動に対しては、中露としても抵抗ないし反 対しきれず、両国とも大勢順応ないし追随の行動をとるのが無難と判断した結果とみるのが実際のところではないであろうか。この点は、いずれ、北朝鮮が準備 をほぼ完了したとされる第3回目の核実験の実施を行ったり、シリアのアサド政権がやがて国連に約束した対応をとるのをためらったりした際に、安保理が更な る強い決議を検討せざるをなくなった時、明らかになるであろう。
               (Y. I. )   
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2012年4月20日 (金)

東アジアにおいて見えはじめたミサイル軍拡競争熾烈化の兆し

  北朝鮮の「人口衛星」と称する弾道ミサイルの発射が失敗に終わったばかりの東アジア地域において、インドは、4月19日、軍備の近代化の一環 として、堂々と、中国、日本を含むアジアのほぼ全域を射程に収める新型の弾道ミサイルの発射実験を行った。このミサイルは、射程が5000キロを超える 「アグニ5」と呼ばれるインド初のICBM=大陸間弾道ミサイルであり、インドの国防省当局によれば、ミサイルは目標地点に着弾し、実験は成功したとい う。
  一方、北朝鮮は、先般の「衛星」の打ち上げ失敗の技術的問題の解明をすでに終わり、打ち上げ技術の進化、発射のための長期計画を邁進することを宣言した。
  このような動きの中で、韓国国防省も、4月19日、北朝鮮全域を射程に収める巡航ミサイルを実戦配備したと発表した。同省によれば、この巡航ミサイル は、数百キロ離れたガラス窓ほどの大きさの目標を正確に攻撃できる能力、サッカー場数十個に相当する面積を焦土にする破壊力があり、「北の全域のあらゆる 施設を即時に攻撃できるようミサイルの実戦配備を完了済みで、北が無謀な軍事的挑発をしてきたら断固として対応する」という。
   これらの動向に大きな関心を有するとみられる中国外務省の劉為民(リウウェイミン)・報道局参事官は、4月19日の定例会見で、インドの新型ミサイ ル試射について「中国とインドは協力相手であって競争相手ではない。双方は、現在の良好な情勢を重要視し、地域の平和と安定の維持に積極的に貢献するべき だ」と述べたとされ、一応、つとめて冷静を装っているようである。
   しかし中国の弾道ミサイル発射技術は、これまで人民解放軍が人工衛星、有人ロケット発射技術を含め主導的に軍事面を中心とした開発を進めてきてい て、他のアジア諸国をはるかに水をあけ、米国に追いつくことを目標としている水準にあるが、インド等の新たな動きに刺激され、更なる積極的開発に取り組む ことになるのは間違いないであろう。
             (Y. I. )   
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2012年4月15日 (日)

「人工衛星」打ち上げ失敗後の北朝鮮威信回復のための次の手は

  世界が注目する中行われた北朝鮮による「人工衛星」と称するミサイル打ち上げは、北朝鮮当局の想定外の失敗に終わった。
  平壌に設けられた立派な外国記者用のプレスセンターに集められた外国人報道陣の再三の質問に、答える言葉を失った北朝鮮側説明責任者は、自分らも上司からの指示をずっと待っているところだと怒鳴り返している映像が流れていた。
  さすがに、北朝鮮側は、失敗をあっさり認めるのが最善策と決断し、当日は金日成生誕百周年行事を何ごともなかったように粛々と進め、金正恩も笑顔で親近感を周囲・国民に示すようにふるまっていた。
  これまでの北朝鮮流に明白な失敗を「成功」と強弁し、無理な発表を行わなかったのは、先方の危機管理の知恵の1つとして賢明であったかもしれないと評し得よう。
  しかし、世界の眼には、今回の発射失敗により北朝鮮の威信が大きく失墜したことは明らかで、視察団を派遣してきていたイランその他従来よりのミサイル 技術取引お得意先国は、今後の取引を考え直しかねず、北朝鮮のミサイル・ビジネスの将来に悪影響という実害も及んだことは間違いない。
  そこで、北朝鮮側としては、今回の失敗によるマイナスを挽回するため世界があっと驚く何らかのフォローアップ措置をとる公算が大きいと見て良いであろ う。先般米国に対し腰を低くして交渉し苦労してまとめ上げた食糧支援合意も米側が中止を発表したので、米側にインパクトを与え、再度交渉テーブルにつかせ うるようなものでもなければならないであろう。
  従って、北朝鮮の次なる手は、地下核実験であろうとの見方が有力であり、これは、「人工衛星」の打ち上げと同じく、金正日よりの遺訓の1つでもあると の説もあるが、果たして、今回の「大失敗」を受けて、中国、ロシアの否定的反応をあり得る核実験を早期に再開する度胸が金正恩指導北朝鮮にあるのか、ある いは一旦低姿勢による恭順の姿勢を一時的にせよ示す方が賢明との知恵を示すことになるのか、注目に値しよう。
     (Y. I. )   
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2012年4月 4日 (水)

シリアによるコフィー・アナン特使の提案受託に拘わらず好転しないシリア情勢

  当局側の力による弾圧、流血が続くシリア情勢は、コフィー・アナン前国連事務総長(国連とアラブ連盟の合同特使)のシリア側との直接交渉の結 果、シリア側がその提案を受託し、国連安保理の全常任理事国がアナン提案を軸とした事態打開を支持する旨表明したことから、好転することが期待されたが、 情勢は依然厳しく、早期に好転することは望み薄いようだ。
  アナン特使は、4月2日、ジュネーブからテレビ会議で和平調停案の経過を国連安全保障理事会に報告した際、シリア政府が4月10日までの部隊撤退などを約束したとし、停戦監視団の派遣を検討するよう安保理に要請したとされる。
  今月の安保理議長国の米国のライス大使によれば、アナン氏は、4月1日、シリアのムアレム外相から「10日までに軍の展開と重火器の使用を停止し、人 口密集地からの軍の撤退を完了させる」と連絡を受けたと報告した。アナン氏は、これらが確認されれば、政府軍と反体制派は48時間以内に停戦合意するとの 見通しを示した上、停戦合意した場合、停戦監視団を派遣できるかを調査するため、国連PKO局がシリアに調査団を派遣することも報告したところ、安保理理 事国からは停戦監視団派遣に必要な決議採択に前向きな発言が相次いだものの、安保理理事国には、アナン氏の報告に懐疑的な見方も強く、米国は、シリア政府 の暴力が収まるどころか、むしろ深刻化するかもしれないとの見方を示しているという。
  一方、シリア反体制派の組織「シリア国民評議会(SNC)」のブルハン・ガリユン議長は、4月1日、トルコのイスタンブールで開かれた反体制派支援目 的の第2回多国間会議「シリアの友人」会合後に朝日記者に対し、アナン前国連事務総長の停戦案の条件が整った場合、政権移行目的でアサド政権との交渉に応 じる用意があると語ったとされる。しかし、シリア政府は3月末にも停戦案受け入れを表明したことがあるが、その後も市民殺害は続いており、交渉の条件が整 うことは決して楽観視されないであろう。
     (Y. I. )   
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2012年3月29日 (木)

核サミットと米国の中国に対する核軍縮参加の呼びかけ

   3月27日、53カ国の首脳が出席し、2日間にわたり核テロ防止策などを協議したソウルでの第2回核保安サミットは閉幕した。
   同会議では、高濃縮ウラン(HEU)削減計画の2013年末までの自発的な提示や、東京電力福島第一原発の事故を踏まえた原子力施設の安全強化の必要性などを盛り込んだ共同宣言を採択し、次回は14年にオランダで開催することを合意したようだ。
   会議の成果もさることながら、オバマ大統領が会議前の3月25日から韓国を訪れ、滞在中、北朝鮮の軍事境界線付近の非武装地帯(DMZ)を視察し、 韓国と結束して北朝鮮に対応する決意を示したほか、韓国との友好関係、李明博大統領との親密振りを示したことが注目された。
   オバマ大統領のソウル訪問は、今回が3度目で、ワシントンに次ぎ訪問回数の多い首都であると述べたという。
   以上のほか、オバマ米大統領は、3月26日午前、韓国外国語大学で演説し、核拡散防止への国際的な取り組みの強化を訴えるとともに、核兵力を含めた 軍備増強を続ける中国に対し、核軍縮交渉に参加するよう呼び掛け、また、ロシアに対してはこれまで手つかずだった戦術核兵器の削減に向けた交渉の開始を促 す考えを示した。
   戦略核軍縮は、これまで米露間だけで交渉が行われ、合意がなされてきた。中国は、自国の核は、自衛のためのみのものであり、数も少ないとして、これ まで交渉参加を免れてきた。しかし、米ロの核兵器削減で相対的に中国の核の存在感が大きくなってきており、米国として益々軍事大国化している中国の核戦力 への懸念を表明し、中国を核軍縮交渉に引き出したいとの強い意向を示したことは当然であろう。
   周知の通り、中国は、まだ発展途上にあり、国土が広大であるとして、気候温暖化対策のためのCO2削減の法的義務から免除されるべきであるとの立場 を固執しており、核軍縮交渉への参加の呼びかけについても当面参加を拒否すると見られるが、中国に対し、環境分野のみならず、核軍縮分野においても大国と しての責任を果たすべしとの國際的圧力は今後益々強まっていくこととなろう。
      (Y. I. )   
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  (慶應義塾大学出版会 http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766418262/)  
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 ( http://www.amazon.co.jp/ペンタゴン報告書-中華人民共和国の軍事力-米国防総省/dp/4990474104
  8月24日米議会に提出された最新版(2011年版)は、国防省HP(http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2011_CMPR_Final.pdf)で御覧になれます。 
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2012年3月20日 (火)

ミャンマー民主化をめぐる熱気の持続性

    ミャンマー情勢は、1年前からすっかり変貌した。
   発端は、2011年3月の民政移管によるテイン・セイン大統領の誕生を契機として同国において進められてきた民主化に向けての諸改革や国民和解のための取り組みが単に見せかけのものではなく、かなり真剣なものと受けとめられはじめたことによる。
   当初、それまで厳しい見方をとってきた欧米諸国の間には、これら動きが真の民主化に向けたものかどうか疑問視する向きも少なくなかったが、最近で は、EUや米国政府も同国においてようやく民主化に向けた本格的ステップがとられ始めたと歓迎し、各国首脳・外相クラスも同国を訪問し、制裁措置の緩和に 踏み切りつつある。
   我が国は、ビルマと呼ばれていた時代から同国と伝統的に良好な関係にあり、筆者も2年余居住したことがあるが、すでに同国に対し人道援助を超えた本格的政府開発援助の再開の動きを見せている。
   我が国民間企業関係者のミャンマー詣でも始まっており、ヤンゴンのみならず、新首都ネピドーに支店を開設する商社も出てきている。
   今後、ミャンマー政府は、4月1日に予定されている議会補欠選挙、明年の東南アジア競技大会(SEA Games)の開催、2014年のASEAN議長国就任等を控えていることから、民主化に逆行する諸措置は採りにくいものと思われるが、同国は、かつてビ ルマ式社会主義とも呼ばれた大国への等距離中立主義時代を含め、長期に亘る孤立政策を経験してきており、軍部出身指導層には、依然、急激な民主化、市場経 済への突入には抵抗があるとみられるので、中国等近隣大国の出方を含め、これからの内外状況の展開次第では、同国の政策の揺れ動きや紆余曲折等は大いにあ り得るであろう。
      (Y. I. )   
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 姉妹ブログ「現下の国際問題」 (http://blogs.yahoo.co.jp/ksmgsk66),(http://angelpower.at.webry.info/),(http://ameblo.jp/ysishi45/)でも本欄と同一記事がご覧になれます。 (http://www.269rank.com); http://news.blogmura.com/ http://politics.blogmura.com/ http://blogranking.fc2.com/in.php?id=398288 http://blog.with2.net/in.php?802369
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推薦図書・資料
1.国際情報センター所長の茂田 宏氏監訳による【インテリジェンス―機密から政策へ】
  マーク・M・ローエンタール 著
  (慶應義塾大学出版会 http://www.keio-up.co.jp/np/isbn/9784766418262/)  
2.「ペンタゴン報告書:中華人民共和国の軍事力―2009年版」(全和訳完全版)
 ( http://www.amazon.co.jp/ペンタゴン報告書-中華人民共和国の軍事力-米国防総省/dp/4990474104
  8月24日米議会に提出された最新版(2011年版)は、国防省HP(http://www.defense.gov/pubs/pdfs/2011_CMPR_Final.pdf)で御覧になれます。 
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2012年3月16日 (金)

米国のアフガニスタン撤兵時期の前倒しもありうるアフガン情勢

   オバマ大統領は、就任前の選挙戦当時から自分が当初より強く反対してきたイラク戦争については出来るだけ早期に米軍の撤収を図るが、アフガ ニスタンについては、テロとの戦いの観点から必要な米軍の駐留を支持するとの基本姿勢を鮮明にし、まずイラクよりの米軍兵力の撤収を計画通り実現させた。
   一方、アフガニスタンについては、米国は、タリバン勢力の盛り返し、カルザイ政権の統治・治安維持能力の脆弱性・汚職問題、米軍一部部隊の誤爆・規 律問題等に悩まされながら、中長期的視点から、タリバンとの対話の可能性も探究しつつ、国際治安支援部隊(ISAF)の中核を担う米軍の駐留は2014年 まで必要との戦略を維持してきた。
   しかも、ごく最近の3月14日には、オバマ米大統領は、ホワイトハウスでキャメロン英首相と会談し、アフガニスタンからの撤退は、従来の計画通りに 進める考えで一致したとし、2014年末のアフガン軍の治安権限移譲に向けて、米英両軍は明年から支援任務の比重をさらに高めることを発表したばかりで あった。
   しかしながら、最近連続して発生した米兵によるコーラン焼却事件やが民間人16人を射殺した事件等不祥事件により現地に急速に高まった反米感情を受 けて、3月15日カルザイ大統領は、アフガニスタンを訪問したパネッタ米国防長官に対し2014年末までに予定される国際治安支援部隊からアフガン政府へ の治安権限の完全移譲を13年中に前倒しするよう求めたという。
   カルザイ大統領の右要求は、国内向けの側面もあるとみられる。オバマ大統領としては、大統領選挙戦の最中、対アフガンの戦略の失敗を認めることとな る尚早な撤兵の要求には応じられないと思われるが、名誉ある、ある程度前倒しした撤収の可能性も検討せざるを得ないであろう。
   ただ、その場合、タリバンも最近の情勢下で、米との和平に向けての対話ルートとして設置を検討してきたカタール・ドーハ事務所を取り止める方針に政 策変更しつつあるとの報道もあるので、米国としては、みすみすタリバンの戦術に陥ることのないよう慎重な対策・行動をとらざるをえないであろう。
    (Y. I. )   
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